看護師 齋藤貴紀
私は2014年に看護学部を卒業し、獨協医科大学病院:消化器内科病棟に入職しました。そこで3年間勤務した後、4年目に現在の勤務先である獨協医科大学日光医療センター:心臓・血管・腎臓内科病棟に異動となり、今年で看護師9年目を迎えました。心臓・血管・腎臓内科に異動してからは、急性心筋梗塞や重症心不全患者に対する急性期看護から、慢性心不全や腎不全患者に対する慢性期看護まで幅広い看護実践を行い、患者層から疾患に至るまで看護の対象は多種多様です。循環器看護分野では、日々変わる患者の容体に合わせた看護や、退院後の生活を見据えた生活指導など業務の内容は多岐にわたります。忙しい毎日ですが、やりがいを感じることも多く、スタッフ一丸となって地域の基幹病院としての役割を果たしています。
そのようなやりがいを感じる一方で、多くの課題にも直面しています。心不全分野においては、水分や塩分制限の不徹底や服薬アドヒアランスの不良などが原因で入退院を繰り返し、その度にADLや生活の質が低下していく患者とその家族を目の当たりにしてきました。心不全における看護には、発症に至るまでの経過の多様性から、幅広い病態や治療に関する知識、および対象を全人的に捉えた看護実践能力が求められます。近年では、「心不全パンデミック」という言葉があるように、心不全患者は今後も増えていくことが予測されています。そこに更なる高齢化も加わり、退院調整に難渋するケースや意思決定支援が十分に行えないなど看護の質を維持するために取り組むべき課題は山積みです。これらの課題への対策を主導的に取り組む人材になるべく、現在は慢性心不全看護認定看護師教育課程に進んでいます。将来は、認定看護師として自施設の医療圏地域および県内の循環器看護分野の発展に寄与できる人材になれるよう努力していきたいと思います。